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屋根の新築
来年息子(31歳)の結婚を期に、二世帯住宅を建てることを決めました。3階木造で、1階は店舗(和菓子製造販売)の予定です。屋根は、昔風のいぶしの和風にしたいと考えています。まずどんなことに注意したらいいでしょう。
おめでとうございます。どのような家を新築されるかについて、全く情報がありませんので、新築の際に気をつけなければならない点について、いくつかのポイントを上げましょう。

【雨の多い地域】
雨漏りは家を長持ちさせる上で大敵です。雨仕舞をしっかりさせ、しかも換気が良く出来る点で、瓦屋根は、湿気の多い日本の気候・風土に最適な屋根材です。数百年前の立派な民家が、いまも堂々とした風格を保っているように、瓦屋根の家は、きちんと管理をすれば、二世帯(代)どころか、三世代〜四世代まで長持ちします。

【風の強い地域】
「瓦が何枚飛んだ」ということが、風の強さを比喩的に表す言葉として、長く使われてきました。しかし、そうした時代はもう過去のものとなりつつあります。というのも、2000年6月の建築基準法の改正によって、風速に応じたガイドライン工法(瓦屋根標準設計・施工ガイドライン)が決められたからです。
この工法では、風速46mの強風(時速248km、新幹線並み、50年に一度の大型台風)にも耐えられるような指示がされています。風速46mの地域は、日本全国の中でも沖縄県と鹿児島県の一部島嶼部に限られていますので、その他の地域は、これより低い基準になっています。新築の屋根工事の場合は、それぞれの風速に応じた基準が設けられていますので、この基準を守る工事になっているかどうかをチェックして下さい。

【耐震構造】
日本は世界有数の地震国として知られていますが、「地震がいつ、どこで起きるのか」、いわゆる地震予知については、残念ながら、現代の最先端科学をもってしてもまだ不可能です。日本全国どこでも大地震の起きる可能性がありますので、つねに用心を心懸けておきましょう。
阪神大震災といえば、「瓦屋根は地震に弱い」という誤った風評が、マスコミ等を通じて随分と流されましたが、あの時倒壊した瓦屋根の殆どは、土葺工法とう屋根の上に盛土をし、さらに瓦を乗せるという工法や、瓦を留め付けていない古い工法の民家ばかりでした。自然と重量の重い屋根が上に乗り、柱に筋交いの補強がなかったり、白アリの被害によってモロくなっていたりする場合には、ちょっとした地震の横ゆれでも危険になります。現在新築される瓦屋根の工事では、こうした古い工法より、ガイドライン工法を推奨していますので、瓦屋根だから地震に弱いという根も葉もないウワサは、いずれも払拭されることになるでしょう。
ところで、地震と木造建築の耐震性についてですが、驚くことに建築基準法では、必ずしも明確に決められているわけではないのです。
[建築基準法 20条]
「建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対しては安全な構造でなければならない」
[同法施行令第39条]
「屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない」
これだけでは、どのようにしたら耐震になるのかハッキリしません。平成12年の建設省告示第1457号(「屋根ふき材等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を定める件」)でも、複雑な計算式が決められていますが、木造2〜3階建の低層住宅に適合する部分が少ないため、瓦工事業界では、自主的に標準となる工法を決め、それに従って工事を行うことにしました。これが「ガイドライン工法」です。ガイドライン工法では、一定水準以上の性能を保持することを決めていますので、ガイドライン工法を遵守する工事店に依頼するのが安全のためには絶対必要です。(ちなみに、いわゆる悪徳業者でガイドライン工法を守っている所はありません。)



【雪の多い地域】
日本で雪の多い地域というと北海道がスグに想い起こされますが、日本海側の豪雪地帯も、積雪量では決してヒケをとりません。しかしながら、北海道では金属系の屋根が殆どを占めています。おそらく瓦屋根→重い→積雪でさらに重くなる、といった連想が、軽量といわれる金属屋根を普及させた要因でしょう。しかし、この理由にはあまり根拠がありません。寒さを防ぐ断熱性では、瓦屋根の方が断然上ですし、豪雪地帯として知られる秋田や新潟、金沢、福井などで、特別金属系屋根が多いということもありません。また、世界的に見ても、雪の多い国として知られる北欧やデンマーク、ドイツなどでは、瓦屋根が殆どです。こうしたことから、雪の多い地方では、地域にふさわしい強化工法を施しさえすれば、十分優美な瓦屋根の家を新築することができます。


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