わが家は、アクアラインを利用すると、東京までわずか20分の千葉県木更津市の郊外に住んでいますが、国の基準によると、台風銀座で知られる九州や四国南部と同じ危険地帯だといわれました。本当でしょうか。 | |
2000年の新建築基準法の施行に伴い、国(国土交通省)は、日本全国の平均風速を9種類(風速30m〜46m)に分け、自治体ごとに基準風速を決めました。(平成12年建設省告示第1454号[■HP]) 風の強い地方、あるいは台風がよく襲来する地方ほど、屋根瓦をしっかり下地材にとめる必要があるため、「基準風速に見合った屋根工事をしなさい」というわけです。 たしかに、木更津市や房総南部地域は、九州、四国を除く日本列島の中で、最も基準風速が強い(秒速38m)地域になっています。秒速38mを時速に直すと136.8kmになります。しかもこれは平均風速ですから、瞬間最大風速は、もっと強くなります。仮に瞬間最大風速を平均風速の1.5倍程度とすると、136.8m×1.5=205.2km/時速になります。まるで新幹線並みの風が吹くことになるわけですから、これはかなり「危険」と考えることができるかもしれません。それでは、日本で最も高い基準風速(秒速46m)が吹くといわれる地域(沖縄県と鹿児島県の一部島嶼部)の最大瞬間風速はどうでしょう。何と新幹線の「のぞみ」並みの時速250km(秒速69m)になります。この風速が決してウソでない証拠には、平成15年9月の台風14号の時、宮古島で、74.1mの瞬間最大風速が記録されています。 もちろん、こうした強い風は年がら年中吹いているわけではありませんが、新建築基準法では、再現期間(50年に1度)内に、1度でもこうした大型台風が来襲するかもしれないので、そうした風にも対応できるような屋根の性能を確保しなさい、というわけです。 ある意味これは大変厳しい基準といえましょう。50年に1回来るか来ないか分からない台風のために、瓦が飛ばないように工事をするのは、普通のビジネスの場合なら、過剰投資としてすぐにしりぞけられてしまうでしょう。しかし、国民の安全で健康な暮らしを守るためには、国はこうした厳しい基準を設けています。 問題は、こうした厳しい基準を守るために、実際に工事をする側がどのように工夫しなければならないか、です。ボールは国から屋根の関連業界に投げられたといえましょう。この答えが「ガイドライン工法」です。 それまで、屋根の工事は、旧建築基準法の下では、材料や工事の方法まで細かく決められていて、工事業者はその決められた基準通りに工事をしていればよかったのです。前述のような、50年に1度の強い台風が来て、瓦がバラバラと風に飛ばされても、工事業者は、法律通り工事をしていたわけですから、特に責任を問われることもないのです。 ところが今度は、工事の方法は自由でいいから、ともかく国民の安全な生活を守るために、50年に1度の強風が吹いても大丈夫な性能を持つようにしなさい、というわけです。これを、新建築基準法の「性能規定」といいます。(ちなみに、旧建築基準法の場合は「仕様規定」)地域によって異なる9種類の基準風速に対応し、法律で求める屋根工事の性能を満足させるために、「ガイドライン工法」は、次のような工夫をしています。
旧建築基準法下で工事をされたケースは、いますぐ工事をしなければならないというわけではありませんが、ご心配であれば、『瓦屋根診断技士』の屋根診断を受けて下さい。『瓦屋根診断技士』は、内閣府所管の一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が、国家資格の「かわらぶき技能士」と「瓦屋根工事技士」の両資格を合わせ持つ、高い技術、技能を持つ工事技術者に与える資格ですから、わが国では、最も信頼できる屋根のプロフェッショナルな資格といえます。その有資格者がどこにいるかは、一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)の公式サイト[■HP]で探すことができますので直接お尋ねください。 |
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