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「三州の雀は羽が黒い」といわれた時代がありました。そう遠い昔の話ではありません。
三州の至る所にある瓦焼き窯からは黒い煙がもくもくと吐き出されていたのです。
しかし、公害に対する意識が高まり公害規制も厳しくなってきました。燃料をガスに転換すれば煙は出ませんが、それではコストがかかりすぎて、事業が成り立たなくなります。何とか煙を出さずに重油で瓦が焼けないか。その思いは切実でした。そんな中、3年間研究を続け、昭和48年(1973)、ついに低コスト無公害の塩焼き瓦の窯を開発した人物がいます。戦前に内燃機の仕事をしていて、戦時中は海軍の整備兵としてエンジンに関わってきた岩間玉数さんです。
この窯の基本的な考えは、ロータリーバーナーで空気と重油を混合した霧をふりまき、それをガスの炎で包んで燃やすものです。燃焼の方法はつかんだものの、次には従来の石炭窯からこの混焼の窯へどうやって費用をかけずに改良するかという課題も待っていました。
こうした研究が完成したとき、周囲からは特許を申請するようにすすめられましたが、岩間さんは「業界全体の発展のために」といって、技術を解放しました。三州だけでなく、頼まれれば、快く他の瓦産地にも出かけていって指導しました。
その1
百済から瓦博士がやって来た
その11
世界のどこにもなかった塩焼瓦(赤瓦)も三州生れ
その2
瓦の技術が全国的に広がった時代
その12
釉薬で美しい色瓦を
その3
需要の減った平安時代、過渡期となった鎌倉時代
その13
よい製品を低コストで・・・機械化の歩み
その4
室町時代、瓦の技術が大きく進歩した
その14
煙を出さずに瓦を焼く
その5
安土城の瓦を焼いた明の一観
その15
トンネル窯の登場で飛躍した生産性
その6
桟瓦の登場で民家にも瓦が使われるようになった
その16
三州瓦のいま
その7
三州で瓦が造られるようになったのはいつ?
●産業廃棄物を出さないために:シャモット工場
その8
三州瓦の恩人・・・江戸町奉行・大岡越前守
●愛知県瓦高等職業訓練校 ●最新鋭の瓦工場
その9
三河木綿ともご縁のあった三州瓦
その10
近代の瓦技術をリードしてきた三州瓦
参考文献
●フランス瓦をいち早く ●S型瓦の開発
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