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●歴代審査員の紹介

1982年 第2回 瓦屋根設計コンクール

審査員講評


吉家 光夫
よしいえ みつお
日本建築士会連合会
大成建設
  今年の2月9日、私たち審査員が名古屋のホテル・キャッスル・プラザで、夥しい応募作品を前にした時、一同の感想は矢張り第2回を実施してよかった、という喜びであった。
  その理由は、どの作者も瓦に対して深い愛情を持ち、甍賞に対してより的確な理解をもって応募されたので作品の粒が揃い、見応えを感じたからである。そして、用途も規模も外壁も全く違った多くの作品が、単に瓦という共通の屋根材料を使っただけで互いに違和感がなくなり、全部が一都市の一部のように見えたのである。この辺に瓦の魅力がひそんでいるのかもしれない。
  さて、個々の作品に触れてみると、古い材料だから古いおさまりでよいとする安易なものよりも、瓦に新しい新鮮な効果を期待したものが目立った。効果とは、たとえば瓦は日本の自然の中で遠目にも近目にも美しいものであること、また近頃発達した断熱材と巧に重ねれば小屋裏も居心地のよい空間になること、お寺でなくても瓦屋根の下には落着きがあって気がやすまること、あるいは、瓦葺の小さな建築群に取り巻かれた大建築も瓦を置けば環境を乱さないですむ方法のあることなどで、今更ながら瓦の効用を再認識させられる思であった。
  応募作品の数は120点で、審査は投票と討議を何回も繰返して次第にしぼっていく方法をとり、最後に残った16案の中から入賞候補を指名し、その中のあるものは必要に応じて現地検討もして最後の決着まで漕ぎつけることが出来た。
  審査を終ってみると、入賞作品は何れも優れた建築で甍賞の名にふさわしいことを喜んでいるが、作品を分類してみると住宅と宗教関係が特に多いのである。審査は「瓦を使用して設計された優れた建築物」という条件以外にこだわらなかったから、何の不都合も無いのだが、賞を重ねてくると欲が出てきて、次の第3回にはバラエティに富んだ内容になってほしいと思う。瓦のためにも、それを強調したいのである。
昭和58年3月10日

審査の経過
  120点にのぼる応募作品の選考は、まず書類・図面による第1次・第2次・第3次審査を経て、作品のしぼり込みが1点、1点、慎重に行われれた。秀作揃い、ということで作品を前に熱のこもった討議がくり返されました。   最終的に残った上位入賞候補作品については、実際に現地に出かけて検討がなされ、結果、金・銀・銅・特別賞、及び佳作、合計16作品の入賞が決定。「見応えのある審査であった・・・」というのが、審査員各位の一致した感想でした。


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